大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌地方裁判所 昭和40年(行ウ)6号 判決

札幌市北七条西一丁目一番地

原告 日詰豊作

右訴訟代理人弁護士 斎藤忠雄

同 西村洋

札幌市大通り西七丁目

被告 札幌国税局長 池中弘

右指定代理人法務事務官 森麟二

〈ほか一名〉

右当事者間の標記事件について当裁判所はつぎのとおり判決する。

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告の求める裁判および請求の原因は別紙一、被告の求める裁判と主張は別紙二に各記載のとおりである。

理由

原告は、札幌税務署長がなした原告の昭和三七年分および同三八年分所得税の更正に対する原告の審査請求について被告のした裁決の取消しを求めている。しかし、その理由として主張するところは、右裁決の原処分である前記更正の違法のみであって、裁決固有の違法をなんら主張していない。

ところで、行政事件訴訟法一〇条二項は、処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない旨定めている。したがって、本件裁決の取消しの訴えにおいては、裁決の手続上の違法等、裁決固有の違法のみを主張することが許されると解すべきである。しかるに原告はこれをなんら主張しないのであるから、原告の請求は主張自体理由がなく、その余の点について判断するまでもなく失当である。

よって原告の請求を棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 平田浩 裁判官 三宅弘人 裁判官 根本真)

〈以下省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例